ハワイ・ホノルル市が民泊規制を強化、新法成立で1700軒のみに許可

ハワイ・ホノルル市議会は2019年6月17日、同市の民泊について、2020年10月から約1700軒に許可を与える法案を満場一致で可決した。新法によって、許可された民泊以外に新たに一般住宅を民泊に転用することはできなくなる。

AP通信によると、何千軒という違法民泊に対して合法化の道を閉ざすことで、民泊を厳しく取り締まる姿勢を示した。ホノルルでは1989年に民泊に対する許可書発行を停止。現在リゾート地区以外で816軒の民泊が合法的に営業されている一方、ホノルル市ではオアフ島で6000〜8000軒の違法民泊が営業されていると見ている。

ローエンドの観光客

地元の住民は、ハワイ観光局によると観光客の数は増加傾向にあるが、支出は下がったとのことで、バケーションレンタルに滞在する人々はハワイ経済にそれほど貢献していないとしている。「我々には、福利厚生を伴った求人を創り出してくれる‘レストランや観光をする’ハイエンドな観光客’が必要なのです。私たちはハワイブランドではないローエンドな観光経済に向かうのは嫌なのです。」としている。

また一般住宅が観光客に貸されることにより、地元住民が借りられる住宅数が減少することも否めず、観光向けではない一般住宅地に観光客が入れ替わり立ち替わり出入りすることに対する住民の反対も根強い。若い世代の人々が、賃貸できる場所がないことが理由で島から追い出されているようである。

非物件所有者が運営するバケーションレンタルが問題

苦情はほとんどが非物件所有者が運営するバケーションレンタル(借りている人が誰かに貸すという又貸し)についてで、「住宅街にあるB&B(ベッドアンドブレックファーストと呼ばれるペンションのようなもの)を急増させている人々が、観光客から経済的な利益を得ている」とのこと。また彼等は、現金で、宿泊費を得ており、現金だと動きが見えないので、収入として税金の支払いをしていないらしい。

予約サイトに許可番号と住所を掲載する

新法ではAirbnbやエクスペディアなどのプラットフォームに対して、各リスティングの許可番号と住所を掲載することを求めている。これにより、市担当者が実地調査をすることなく、ウェブサイト上で違法民泊の取り締まりが可能になると期待されている。
新法では市郡政府の許可を受けていない違法な短期バケーションレンタルの広告が禁止された。ここでいう「短期」とは30日以下のものを指し、それ以上ならばホノルル市郡(オアフ島全域)では長期とみなされ合法である。違法民泊に対する罰金は最高1万米ドル(約100万円)。

一方、プラットフォームやオアフ島の民泊営業者は、民泊はホテルやリゾート以外の宿泊施設を求める旅行者のニーズを反映したもので、ホストも収入を得られていると主張しており、今後この新法に対する異議申し立ても予想される。

反対者は、民泊の増加は住宅地でのトラブルを引き起こしかねず、住居用の空き室の減少にもつながると主張している。

日本の観光客からみると、経済的にハワイを楽しむことが出来れば嬉しいが、日本における民泊展開と同様に、ハワイでも地元経済を活性化し、地元住民に貢献できるような形で、民泊が運営されることが望まれる。